顎の幅が狭くガタガタな歯並びを抜歯矯正で改善した症例
顎の幅が狭くガタガタな歯並びを抜歯矯正で改善した症例
歯並びを治したいとのことで来院された患者さまです。歯がガタガタに並んでいて、前歯が出ているところが気になるとのことでした。
初診時の状態
上下の前歯は重なり合って並んでおり、前歯が前に出ています。虫歯はなく、歯肉の状態は良好な状態でした。鞍状歯列弓という、小臼歯から大臼歯にかけての歯が内側に傾斜して歯列の幅が狭くなっている歯並びとなっています。
レントゲンより骨格は上顎前突傾向で、前歯が出ていることによる口元の突出感がわかります。
カウンセリングで治療方針の決定
私は、精密資料採得を行い、診断した結果を基に、抜歯矯正がこの患者さまにとって1番良い治療方法だとお伝えしました。
歯がガタガタに並んでいて、前歯が出ているところを改善したいという要望を叶えるにあたって、これだけスペースがなく、狭くなっている顎の状態で、歯がガタガタしている事から考えて、この噛み合わせを非抜歯矯正(歯を抜かずに矯正)で治療する事は不可能だと考えました。
例えると、現状は5人掛けの椅子に7人で無理やり座っているような状態で、綺麗に座れず、はみ出てしまっているような状態です。5人掛けの椅子に綺麗に座るには5人じゃないと座れません。この顎の大きさには適正な歯の本数は上2本、下2本、計4本少ない状態がちょうど良いのです。
矯正治療において、歯を抜くことは決して悪いことではなく、それぞれの噛み合わせに合わせて、抜歯が必要な場合は抜歯を行なった方がより安定し、美しい噛み合わせを獲得することができます。
カウンセリングでお伝えさせて頂いた結果、患者様は、抜歯矯正治療をする事を選択されました。
矯正装置の装着
まずは狭くなってしまっている歯列の幅を改善するために、幅を広げる装置を上下顎に装着していきます。
矯正治療開始5ヵ月後
治療前と比べると、歯列の幅が改善してきていることがわかります。安定した噛み合わせを得るために、臼歯を正しい位置に並べて咬合させることがとても大切です。
矯正治療開始7ヵ月後
次に上顎から順番に、幅を広げる装置を外し、歯並びを整えるための装置を装着していきます。上下ともに左右の小臼歯を抜歯し、そのスペースを利用して突出した前歯を内側へ引っ込めていきます。
矯正治療開始1年1ヵ月後
上顎は歯が綺麗に並んできています。下顎も上顎と同様の流れで進めています。上下ともに、ここから抜歯で得たスペースに犬歯を動かしていきます。
矯正治療開始1年8ヵ月後
犬歯の移動途中です。下顎はまだ犬歯を移動しているだけですが、その効果で前歯の重なりが改善し装置が付けられる状態になってきています。
矯正治療開始1年11ヵ月後
上下ともに犬歯の移動が完了しました。下顎の前歯にも装置をつけて、下顎の歯並びを整えていきます。
矯正治療開始2年1ヵ月後
下顎の歯も綺麗に並んできました。残ったスペースを閉じて前歯の位置を改善していきます。
矯正治療開始2年3ヵ月後
上下ともにスペースが閉じたところです。ここから噛み合わせを最終調整していきます。
矯正治療開始2年5ヵ月後
概ね綺麗に並んでいますが、さらに緊密な咬合になるように特殊な曲げ方をしたワイヤーと顎間ゴムを装着します。顎間ゴムをしていないと、目的の動きと逆の動きを起こしてしまうため、患者さまの協力が必須となる治療です。
矯正治療開始2年11ヵ月後
装置を外す直前の状態です。最終チェックを行い、歯のポジション、歯列のアーチ、正中の位置などに問題ないことが確認できました。
前歯も緊密に咬合できていることが確認できました。
矯正治療終了時の状態
矯正治療が終了して、主訴であった前歯の突出感が改善し、美しい噛み合わせを構築することができました。治療後の安定のためには、ただ歯を並べるだけではなく、しっかりと上下の歯を正しい位置で咬合させることが必要です。患者さまも非常に満足されており、矯正治療を選択して本当に良かったとおっしゃっていただきました。
年齢/性別 | 20代/女性 |
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治療期間 | 2年11ヵ月 |
治療回数 | 40回 |
治療費 | 990,000円(税込) |
リスクなど | ・歯の移動に伴い、鈍痛や違和感を感じる場合があります。 ・歯根吸収が起こる場合があります。 ・歯を並べるために抜歯が必要になる可能性があります。 ・治療期間は来院状況、個人によって差があります。 |